厚底は遅いという常識をくつがえし、市民ランナーから大人気となっているナイキの厚底シューズ。
その中でやや謎めいた存在となっているのがズームフライの派生モデルであるズームフライ SPです。
ここではズームフライとズームフライ SPの違いについて、実際に使ってみた感想を交えてご説明します。
その前に、私が持っているシューズはこちら。
ナイキ ズーム フライ SP
¥ 19,440
重量:約230g(メンズサイズ27.0cm)
オフセット:10mm
ナイキ ズーム フライ
¥16,200
重量:約248g (メンズサイズ28cm)
オフセット:10mm
ズームフライではフルを3回、ズームフライSPでは30キロのレースに1回出ました。
①アッパーが違う。SPは軽量化している
最大の違いはアッパーの素材でしょう。
NIKE公式サイトによると、SPのアッパーは「トランスルーセントのストレッチウーブン製アッパーが、優れた軽量性と通気性を実現」とのこと。ストレッチウーブンはパンツなどで使用される伸縮性のある素材のようです。
一方、ズームフライはフライメッシュアッパーを使用しています。
ズームフライSP:ストレッチウーブン
ズームフライ:フライメッシュ
数字が示しているように、確かにズームフライSPはズームフライよりも軽量です。ソール部分はほぼ同じのため、クッショニングはそのままに軽量化に成功しているといえます。
さらにこのアッパーは通気性も確保しており、私が30kmを走ったときも蒸れなどは一切感じませんでした。
②フィット感が違う。SPは接地でブレる
ただし、ズームフライSPの弱点を挙げるとすれば「フィット感」でしょう。
アッパーの素材が薄くてペラペラのため、足を包み込む感覚はなく、接地時に微妙なブレを感じます。これは軽量化の代償といえるでしょう。
ただ、かかと部分にはピンポイントの強化ラバーが配置されており、これで辛うじてフィット感を保っています。
30kmのレースを走り終わったあと、足の指先が痛くなったので、フィット感の影響もあったかもしれません。
とはいえ、レースの結果も30kmの自己ベストを10分近く更新することができました。多少足の保護力は弱いにしても、スピードが出しやすいことは間違いないでしょう。
サイズ感はいつも通りで私は問題ありませんでした。
③デザインが違う。SPは都会的でおしゃれ
私が持っているズームフライSPはモノトーンベースにアクセントの黄色という感じで、スウッシュロゴも控えめです。多くのSPはやや落ち着いたトーンの色使いになっています。
ランニングシューズにありがちな派手さはなく、普段履きにもぴったりなデザインとなっています。実際にSPはスニーカーとしても人気があります。
アッパーが半透明ゆえ、組み合わせるソックスによってシューズの印象を変えることもできます。
ただし、私の経験上、5本指ソックスと合わせると少し不気味な印象になるので、かっこよさを重視するならこの組み合わせは避けましょう。
ズーム フライ フライニット、ズーム フライ SP ファストとは?
話を単純化するためにズームフライとズームフライSPの比較をしてきましたが、ズームフライには様々な派生モデルが出てきています。
代表的なのは2018年のズーム フライ フライニットですが、こちらは文字通りフライニットアッパーで、さらにヴェイパーフライ4%と同じプレートを採用するなど大幅アップデートしています。
少し重くなったものの安定性が増し、自然な履き心地になったとの評判です。
ズーム フライ SP ファストは2018年後半にしれっと発売されていたモデルで、NIKE公式サイトの商品説明では通常のズームフライSPとの違いには触れられていません。
ただ、通常のSPの商品説明から「さまざまなシーンのニーズに応える」という文言だけが削られており、よりレースに特化したモデルだと考えられます。
厚底シューズは年々モデル数が増えていてどれを選ぶべきか迷いますが、ファッション性重視のランナーはぜひズームフライSPも選択肢に入れてみくださいね。